人気ブログランキング | 話題のタグを見る
エキサイトブログ ホーム | ブログトップ | サイトマップ
Top

 
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
長友啓典
Keisuke Nagatomo
--------------------
1939年大阪生まれ。1964年桑沢デザイン研究所卒業。日本デザインセンター入社。1969年黒田征太郎とK2設立。
エディトリアル、各種広告、企業CI、及びイベント会場構成のアートディレクションを手がけるほか、多数の小説に挿絵、エッセイ連載など、現在に至る。
日本工学院専門学校グラフィックデザイン科顧問
、東京造形大学客員教授




Translation to English

--------------------
装丁問答イッキ読み
--------------------


「PIKADON」
衣食住をテーマにイノチのことを考えます。




お友達ブログ
山村幸広さん
南川三治郎さん
勝手にロワイヤル!!
宮澤正明さん
貫場幸英さん

お友達ホームページ
新正卓さん
以前の記事
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
装丁問答.15
今日は映像がありません、といいますのは携帯の電池が切れてしまいました。文字ばっかりで申し訳けありません。小林薫さんと飯を食いました、写真家の宮沢正明さんソトコトの小黒さん沢山の人達に会いました。久し振りに銀座クラブ活動の華やかな写真をお届けしたかったのに、ほんま残念です。次回お楽しみに。

と言う訳で、本日はアートンのPR誌「あとん」3月号に連載している本の装丁の話『装丁問答』を紹介します。


装丁問答15 挿画家と作家の絶妙コンビ

 「挿絵画壇の鬼才 岩田専太郎展」という展覧会が東京文京区の弥生美術館で開かれている。
岩田専太郎と言う人は丁度僕が東京に出てきたころの昭和三十年代に大活躍されていた。
 最初の出会いは確か創刊されたばかりの「週刊サンケイ」の表紙で、目パッチリのモダンな美人画だった。
 何しろ僕が出会った絵のなかで見た事もないような美人画だったと記憶している。ニキビ顔の少年がある種の欲情を憶えるようなものだった。片方では中原淳一の絵が世の女性達を陶酔させていた。もちろん僕がこの業界に入る前だから、そういったものにとりわけ興味があった訳でもないのに強烈な印象として残っている。これは相当なインパクトで世間の読者を捕らえていたに違いない。もちろん僕も一目見たその日から大ファンになった。
 展覧会に飾られている一枚の絵「蛇姫様」は一九三九年のものとあった。僕が生まれた年だ。そのころから活躍されていたんだと改めて感激した。
 川口松太郎とのコンビは有名だが、戦前、戦後を通じて吉川英治、大佛次郎、江戸川乱歩、三島由紀夫、松本清張、司馬遼太郎等文豪の名文に飾られた。独学で絵を身につけたと記されていた。
 コンビといえば田辺聖子と灘本唯人、丸谷才一と和田誠、柳美里と井筒啓之、野坂昭如と黒田征太郎、伊集院静と不肖長友啓典と今も数多く見られるが、この蓬田やすひろと平岩弓枝の「御宿かわせみ」は外す事が出来ない。平岩弓枝さんがこのシリーズを手掛けられたのは三十二年前の事らしい。このころは大先輩の東啓三郎氏が絵をつけられていた。
 蓬田やすひろがバトンタッチを受けたのが十八年前となる。ギネスブック的長寿連載のスゴイ事だ。まだまだ連載は時代が変わり明治となって続くらしい。ほんとうに楽しみだ。
 蓬田の絵をよく見てみると多くは右上がりの水平線というか地平線で構成されている。浮世絵ではない独特の遠近法を完成した。江戸時代の雰囲気を醸し出している。
 岩田専太郎の絵を批評家の言葉を借りれば一瞬の緊張感、鋭利な線、明暗の対比、劇的な構図とあるが蓬田やすひろの絵とそのまま重なってくる。鏑木清方の絵がそうであるように、画面の中に我が身が溶け込んでいく。
 子供のはしゃぐ声、犬の鳴き声、獅子舞と町の人達の喧騒、大川端を渡る渡し舟。船頭が川面に竿をさす「ポチャ」という音、穂先をかき分ける川の流れの音、キレの良い女達の江戸弁の会話、等等それらの音が今にも聞こえてきそうな、このような風景を目のあたりにしたような感じがする。蓬田の絵は安心して見られる。身をゆだねる事が出来る数少ない絵だ。
 「御宿かわせみ」の平岩弓枝と出会った事によって蓬田は確固とした文脈をつかみとった。それは岩田専太郎が川口松太郎とそうであった様に。
 黒田征太郎が野坂昭如の「水虫魂」、合田佐和子が中上健次との「軽蔑」。井筒啓之が柳美里の「八月の果て」、かくいう小生も村松友 の「時代屋の女房」で花開き伊集院静との「三年坂」で定着した。挿絵をする者にとってそういう鉱脈との出会いが挿絵人生に大きく影響してくる。
 因みに今回紹介した『千手観音の謎』は「御宿かわせみ傑作選」として『初春の客』、『祝言』との三部作である(装丁・石崎健太郎/文藝春秋刊)。
装丁問答.15_c0009877_2035861.jpg

by k2-d | 2006-03-22 20:35 | 装丁問答
<< GINZA KOMATSU 竹葉亭 >>
Copyright © 1969-2008 K2. All Rights Reserved.
Copyright © 1997-2007 Excite Japan Co., Ltd. All Rights Reserved.
免責事項 - ヘルプ - エキサイトをスタ-トペ-ジに | BB.excite | Woman.excite | エキサイト ホーム