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長友啓典
Keisuke Nagatomo
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1939年大阪生まれ。1964年桑沢デザイン研究所卒業。日本デザインセンター入社。1969年黒田征太郎とK2設立。
エディトリアル、各種広告、企業CI、及びイベント会場構成のアートディレクションを手がけるほか、多数の小説に挿絵、エッセイ連載など、現在に至る。
日本工学院専門学校グラフィックデザイン科顧問
、東京造形大学客員教授




Translation to English

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装丁問答イッキ読み
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「PIKADON」
衣食住をテーマにイノチのことを考えます。




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装丁問答.6
装丁問答.6_c0009877_13523930.jpg
南伸坊さんと先日ばー「オプ」でお会いした。と言うわけではないのだが今回登場して頂いた。

装丁問答6 “自己主張”しないデザイン

やっと花粉症の鬱陶しさから解放された。あんなにも厄介なものだと思わなかった。今年初めてのことである。鼻水は自分の意志に反してポタポタと落ちるわ、目ぇはやたら痒く、クシャミはとめどとなく「ハクション」の連発となる。困った事に、くしゃみが終わった後の爽快感は「ハックションーてかぁ」と言いたくなるぐらいだ。ゴールデンウィークと共にどこかへ行ってしまった。また来年もやってくるんでしょうなぁ。今となっては懐かしい。喉元過ぎればのクチだ。ある人が粘膜を刺激する花粉症をあなたが「感じる」というのはなかなかどうしてどうして、若い肉体(粘膜)を持っている証拠ですよと変な誉め方をしてくれた。茶化しているとは知りつつも妙にその言葉が説得力を持って僕を納得させた。が、良ぉーく考えてみると若い肉体であると自覚しようとしている事がボケだとかヨイヨイ、モウロクとよばれる老化現象、この兆候の現れてきたサマをプラス評価して自らもその現象を誇る事で「老人力」と言うのと一緒なんだとハタと気が付いた。

えらくまくらが長くなったがこの『老人力』赤瀬川原平(筑摩書房)の装丁が頭に浮かんだ。真っ赤な本である。還暦の赤である。金箔で老人力という文字が中央に押されている。老人力という今迄に聞いた事もない造語を色と文字だけの構成でねじ伏せてしまう腕力のある直球の装丁だ。この人の名は南伸坊さんという。ご本人曰く、全く専門的な教育をお受けになっていない様だ。と言う事は保守的な教育を受けていないと言う事で、それがプラスとなり「本職のデザイナーの方々のデザインと自分のデザインの大きな違いは、デザインで『自己主張』をしないということだろう」という事になる。このあたりが伸坊さんの装丁の数々を拝見していると如実に出ている。野球の投手で言えば打たせて取るという個性派投手というところだと思う。球数を多く持っている。直球、カーブ、シュート、チェンジアップを自在に操る投球術だ。『老人力』の装丁はまさしく直球だ。
装丁問答.6_c0009877_13562181.jpg

で今回ご紹介する『ビトウィン』川上健一(集英社)も直球だ。直球は直球でも160キロ台のものでなく、見事にコントロールされた「アレッ」と気がついたらストライクを取られている様なもんだ。表題の文字(書体)のえらび、紙と判型の軽便さ、爽やかな緑一色にしたカバーのデザインも直球のキレ味だ。スミ(イラストレーション)と緑の2色で川上健一さんの小説を見事に表現している。ちょっと太めでカバーと同色の帯がこれまた有効でデザインのダメ押しをしている。

他にも伸坊さんの装丁の中に『山田風太郎明治小説全集』(講談社出版文化賞・装丁賞)というのがある。これがまた見事な直球となっている。伸坊さんは数多くの本を装丁されているが一冊一冊、直球だけでなく、カーブ、シュート等球種の異なるボールを丁寧に投げておられる。そのなかに何かしらちらっと笑わしてくれるアイデアがあるところがミソだ。『新解さんの謎』赤瀬川原平(文藝春秋)などは直球でありながら自然にシュート回転をしている様なもんだ。『歴史上の本人』(JTB出版)はご自分が著者である。この様に著者自装の本も可成りあるがこの装丁があの手この手の球筋で読者を楽しませてくれる。他にも茂木大輔『オケのなかの蛙、大海に挑む』(中央公論社)、柳屋小三治『まくら』(講談社文庫)、嵐山光三郎『芭蕉の誘惑』(JTB出版)。僕が好きな本を書き出しているときりがない。私がつべこべ言うより『装丁』南伸坊(フレーベル館)をごらんあれ。一冊一冊のアイデアが生かされているところが良ぉーく解る。
装丁問答.6_c0009877_13563066.jpg

by k2-d | 2006-05-29 13:52 | 装丁問答
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