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長友啓典
Keisuke Nagatomo
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1939年大阪生まれ。1964年桑沢デザイン研究所卒業。日本デザインセンター入社。1969年黒田征太郎とK2設立。
エディトリアル、各種広告、企業CI、及びイベント会場構成のアートディレクションを手がけるほか、多数の小説に挿絵、エッセイ連載など、現在に至る。
日本工学院専門学校グラフィックデザイン科顧問
、東京造形大学客員教授




Translation to English

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装丁問答イッキ読み
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「PIKADON」
衣食住をテーマにイノチのことを考えます。




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装丁問答.10
装丁問答.10_c0009877_17211069.jpg
装丁問答10 拒否するかのごときオビ

この文章は去年の話なんで「東京タワー」はお読みになった方は多いと思います。あの時の感激をもういちど。


このところ装丁家、ブックデザイナーの人達がテレビとかラジオ、雑誌に登場する事が多くなった。すごく良い事だと思う。気になる本のページをめくり目次の後、もしくは奥付の近辺に装丁ダレソレと記名されているのはその人の責任の名のもとにデザインをしましたという刻印だと考えている。知った人の名前が出て来たりすると読者としてもうれしいものだ。三月に発売したのに、十月になろうとする今も本屋さんの平台にならんでいるこの本などは良い例だ。

『半島を出よ』上下巻(村上龍著/幻冬舎)は鈴木成一デザイン室の制作である。鈴木成一さんのテレビドキュメントを見たが、素晴らしいエナジーを持った人である。装丁、ブックデザインだけで一家をなしている数少ない人だ。この本に限らず鈴木さんが手掛ける装丁ブックデザインはかなりの時間を費やされている様な気がする。
『半島を出よ』のデザインの場合、多くのラフスケッチのなかからアイデアがまとまりそれを定着させる為のネタ捜しに東奔西走される。表一、表四に使われている福岡上空の地図を見つけるのに数ヶ月、その地図の上に切り抜きで鎮座ましましているカエル殿(ヤドクカエル)、これを見つけるのにまたひと苦労された様だ。あちらこちらのペットショップをしらみつぶしに捜し求められている映像をその時見た。それを写真家(高橋和海)がスタジオでもって撮影されるというご苦労は大事業となっていた。鈴木成一さんの仕事は事ほど左様に「誠実」という二文字が頭に浮かんでくる。硬派な本、軟派な本、いろいろと本屋さんでアレッと思う本を手に取って見ると半数は鈴木さん、鈴木成一デザイン室のものであると言っても過言ではないだろう。

『暮らしのことば擬音・擬態語辞典』(山口仲美編/講談社)などはまさかまさかと思ったがやはり鈴木成一さんの手にかかっていた。下世話な話だが一冊の本のためにこんなにエネルギーを費やして成り立つものなのかと疑問に思ってしまう。というのは本のデザインのギャラは想像を絶するものであるからだ。
ちょっと話がそれていきそうなんで鈴木さんの数々の素晴らしいお仕事の話とこのあたりの話も含めて、改めてさせて頂く事にする。
今月、名古屋、京都、大阪と出張する機会に各地の本屋さんをうろうろと徘徊して目についたのは、その土地土地の特長のある出版物がちゃんと平台に乗っかっていたのは旅に来たという感覚が湧いて来て、まだまだ土地柄があるんだとうれしくなって来た。
装丁問答.10_c0009877_17213763.jpg

今月も夏場とはいえ、店頭には多くの本がところ狭しと並んでいた。そのなかで特筆すべき一冊を見つけた。  
『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(リリー・フランキー=著/扶桑社/装丁・挿画・撮影=中川雅也/扉題字=中川弘治)である。志を持った新しい文芸マガジン「en-tax」に連載されていたので気にはなっていたが単行本となってからは、電車のなかで、カフェでコーヒーを飲みながら、街角でこの本を手に持ち歩いているのがちょっとしたファッションの小物化しているのに気がついた。バックと一緒に小脇に抱える、これがカッコ良いのである。そういう人を何人も見かけた。

『限りなく透明に近いブルー』(村上龍)、『なんとなく、クリスタル』(田中康夫)、『ノルウェイの森』(村上春樹)もそうだったような気がする。もはや社会現象となっていた。『東京タワー』もそうなるのではという気がした。白い表紙、素気ないタイトル、読む事を拒否しているかのごとき帯の小さな文字、装丁としては意表をついているが単純明快、ストレートに読者に伝わったんだろう。

因みに僕は読む事を拒否すると言った帯の推薦文は全て読んでしまった。今までにない選者のラインナップが良く、文面が泣かせてくれる。

もちろん本文も号泣こそしなかったが一気呵成に読んでしまった。
by k2-d | 2006-07-03 17:22 | 装丁問答
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