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長友啓典
Keisuke Nagatomo
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1939年大阪生まれ。1964年桑沢デザイン研究所卒業。日本デザインセンター入社。1969年黒田征太郎とK2設立。
エディトリアル、各種広告、企業CI、及びイベント会場構成のアートディレクションを手がけるほか、多数の小説に挿絵、エッセイ連載など、現在に至る。
日本工学院専門学校グラフィックデザイン科顧問
、東京造形大学客員教授




Translation to English

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装丁問答イッキ読み
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「PIKADON」
衣食住をテーマにイノチのことを考えます。




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装丁問答.29
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「あとん」2007年5月 vol.30に掲載された装丁問答です。



装丁問答.29 機内誌とスポーツ感動長編と

牧野伊三夫が絵、アートディレクションを有山達也、編集に大谷道子というメンバーが作りだす『雲のうえ』という雑誌を見つけた。北九州の小倉にいる友人Mを訪ねていくというツアーがあり、美味しいものを食べ(そのころはフグ)、おいしいお酒を(この時は焼酎)しこたま頂くという、僕にとっては、もって来いのツアーがあった。イヤッ、誰もが食指を動かさずにおられないツアーだ。参加しないわけにいかない。

「スターフライヤー」という東京と北九州を行き来している空路がある。飛んでいる飛行機はまっ黒な機体がデザイン的にも素晴らしい航空会社である。『雲のうえ』はその機内誌として創刊されたものと聞いている。だからその飛行機に乗って新鮮な絵になる牧野さんの表紙に出くわした時は、ものスゴイものを発見したという感じがした。本屋さんで「アレッ」と思う僕の好きな出版物を見つけると、このメンバーのいずれかの名前が入っているような実力派の人達なのだ。
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だからこの『雲のうえ』を手にした時も目茶目茶楽しみに「どんなんかなぁ」とページを急いで繰った。この人達の何が良いかと言えば、その全ての仕事を知っている訳ではないのだが「力が抜けている」と言う事が言える。「自然体」とも言う。ある見方に依れば自分の目線で仕事をしていると言う事だろう。ところが目線でもの事を語るという事は、いつもその目線を保ち(疲れ目の時は目薬が必要)、常に目線も磨いておかなくては(いつもクリーンでいなければ)ならないから大変なことである。「自然体」と言ってもそうは簡単にはいかないのが常だ。「力」も抜こうと思って抜けるものではない。それなりの日常の訓練と鍛錬が必要なんだと思う。そういう人達なのである。この小冊子にしても北九州の地元でない人達(詳しく知らないが)に一冊、編集・デザインをまかせるという白羽の矢が当たったのは日頃からそういった目線での仕事のなせる技だと思う。力の抜けた丁寧な誌面づくりに感心する。
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2007年、本屋大賞(全国書店員が選んだ、いちばん! 売りたい本)と第28回吉川英治文学新人賞のW受賞と大きく書かれた腰まきの本を本屋さんの店頭でみかけた。『一瞬の風になれ』③(ドン)とあった。よく見てみると三部作となっており、三冊が新鮮なおもむきで並んでいた。第一部①(イチニツイテ)第二部②(ヨーイ)となっている。要するにイチニツイテ、ヨーイ、ドンの三部作と言う事であり『一瞬の風になれ』がスポーツもの、そのなかでも陸上がテーマのものなんだと合点がいった。残念ながら、帯にかくれて装丁、装画が見えなかったが、ちらっと垣間見える気持ちの良い絵は? と帯をはずしめつめつ見てみるとこの長編小説の素晴らしさを彷彿させるものがあった。デザイン有山達也、飯塚文子、カバーイラスト・クサナギシンペイ(この絵がほんとに素晴らしい)とあった。会ったことはないが知った名前が出て来たので尚更合点がいき、嬉しくなってしまった。
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著者の佐藤多佳子さんが言われている「これまでのスポーツ小説を読んで来て、スポーツシーン以外のところでドラマが進行するものが多く、不満を感じていたので、自分が書く時はスポーツの中にすべてのドラマを集結しようと決めていた」という一文があるように見事なスポーツ小説となっている。僕自身が高校時代ラグビーをやっていたのでよく分る。その頃はただただ身体を痛めつけるだけの練習だったのが実はこういうことだったんだと。青春の真ん中にいると青春って分らないのと同じで、今となってこの本を読むとスポーツの凄さが分ってくる。「人生が愛おしくなる感動長編」となっている。それを補ってあまりある素晴らしい装丁だ。
by k2-d | 2007-09-14 13:32 | 装丁問答
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